国の理想の概要

国に理想を掲げよう

国の理想の概要
国の理想の概要

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 今の日本社会では、私たちの日々の仕事や勉強などの努力が、みんなの幸せや世界の平和にはつながっていません。そのために、日々の仕事や勉強にも心からの生きがいや希望を感じられないのです。その原因は、日本に、みんなが本当に納得のいく理想が掲げられていないことにあります。

 

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 日本の社会には深刻な諸問題があります。しかし、それぞれをその分野の中だけで根本的に解決しようとしても、ほとんど不可能です。それは、世の中の一つ一つの事柄はそれ単独でバラバラに存在するのではなく、社会全体のあり方、すなわち、国の根本方針によって方向付けられているからです。


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 現在の日本の根本方針は、他のほとんどの国々と同じように、「自国の飽くなき物質的繁栄と、国家存亡の危機に際しての生き残りを図ること」です。一言で言えば、「自分の国さえよければいい」という国家エゴイズム。これは、「自分たちを含めた世界のみんなの幸せと平和を求める」ということとは、正反対の論理です。


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 この国家エゴイズムに沿って、外交政策だけでなく、国内の経済・教育などすべての制度が作られ、政策が実行されています。したがって、国家の基本方針をそのままにして、例えば、教育における問題を解決しようとしても、根本的な解決はできません。教育制度を改め、一人ひとりの個性や才能を伸ばし、この世界と自分というものの存在に対する自覚を促す「人間のための教育」を実施するためにはどうしたらいいのでしょうか。国家の基本方針である国家エゴイズムをあらため、「共生と利他の精神」に基づいた基本方針を打ち出す必要があります。


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 共生と利他の精神に基づく国家の基本方針とは、国内の教育や福祉政策などと同じように、平和的な手段で、地球環境問題の解決、途上国の貧困や飢餓の対策といった福祉活動、そして、世界平和の実現のための活動に、国の総力をあげて貢献するということです。それを一言で表すと、「国際環境平和国家」とになります。


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 現在の日本国家の基本政策は、国家エゴイズムに基づく、飽くなき物質的繁栄を目的とする経済成長至上主義です。そして、もし憲法が改正されれば、それに加えて、武力により国を守り、アメリカとの同盟関係を最優先し、海外に行ってまで戦争することが国家の基本方針に加わります。


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 日本社会の行き詰まりと世界の危機という現在の状況下では、世界の国々が国家エゴイズムを振りかざし、虚々実々の駆け引きをし、競い合うことは、まったく時代遅れです。それに留まらず、実際には、危機的状況をますます加速させることになります。


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 今こそ、私たちはその幻想に目覚め、日々の生活での努力が、日本社会の新生と世界の人々の幸せと平和に直結する理想を、国に掲げることが必要です。その理想には、「個人の努力」と「国家の理想」と「人類の願い」が矛盾なく通じ合うことが不可欠です。みんなが心から納得のいく理想を国に掲げることが、私たちの心を希望と生きがいに満ちたものにします。それが、日本社会の行き詰まりと世界の危機を解消する道を開く、唯一の道です。


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 その理想とは、「国際環境平和国家を目指す」ことを国家の基本方針とすることです。

 

 

国に理想を掲げるとは

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 「国に理想を掲げる」ということは、今すぐ現在の政府や政治家に訴えて、「国際環境平和国家」を実現しようということではありません(それは、現実的には不可能です)。


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 また、国内のさまざまな問題を一つひとつ解決し、制度や仕組みを変えることによって、「国際環境平和国家」を実現しようというのでもありません。


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 「国に理想を掲げる」ということは、「国際環境平和国家を目指す」ということを国家の基本方針とするということです。


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 しかし、今すぐ現在の政府や政治家に訴えて、「国際環境平和国家を目指す」ことを政府に宣言させようということではありません。


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 「国に理想を掲げる」ということは、この考えに賛同する人が増え、その気運が高まることによって、最終的に政治に働きかけて、国民投票や憲法改正などの手続きを経て、国家として「国際環境平和国家を目指す」ことを宣言することです。


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 「国際環境平和国家を目指す」ことを宣言した後、この新たな国家の基本方針にそって、政治・産業・教育その他の制度が整えられることになります。


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 だからといって、国家として「国際環境平和国家を目指す」ことを宣言してはじめて、この活動が国内外に影響を与えるのではありません。


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 この考えに賛同する人が増え、その気運が高まるにつれて、その影響は国の内外に次第に大きな影響を与えるようになっていくでしょう。


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 国内では、この新たな気運が高まるにつれて、人びとの意識が変わり始めるでしょう。未来に希望の光を見る人が増えて、世の中の雰囲気が明るくなります。助け合いや人と人とのつながりを大切にしようという気運がしだいに広がっていき、学校や家庭の雰囲気も和やかになるでしょう。このような気運が広まるにつれて、それは、教育や福祉などのあり方の改善に向けての内的な変化を促します。このような状況の中で、私たちの日々の生活も張りのある、生き生きしたものになります。自分だけのための利己的な目的でなく、利他的な目的意識を持って、しっかり勉強する子どもたちが増えていきます。いろいろな分野の専門家たちも、新しい国づくりのための研究を始め、いろいろなNPOやNGOによって具体的な提案もなされ、この運動はしだいに活発になっていくでしょう。


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 国外では、多くの平和を愛する人びとが、歴史上かつてない「脱国家エゴイズム」に向けての動きに注目します。この動きがますます活発になるにつれ、また、その真意を理解する人びとが増えるにつれて、それぞれの国でも、日本に見習って、「脱国家エゴイズム」への動きが始まり、日本と同じように様々なNPOやNGOが協力し合い、それはしだいに大きな流れとなるでしょう。日本の新しい国づくりに向けて、協力を申し出る人たちも次々に出てきます。国家エゴイズムの対立による国際間の緊張が緩み始め、環境問題その他の深刻な諸問題の解決に向けて、しだいに真の協調関係が構築されていくでしょう。国家エゴイズムの対立で争うことの愚かしさに目覚めた人が増えるにつれて、戦争や紛争、そしてテロが少なくなっていくでしょう。


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 そして、日本が国家として、「国際環境平和国家を目指す」ことを国の内外に宣言する段階になれば、世界の深刻な諸問題の解決への見通しはほとんどついているでしょう。


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 この考えの当面の目的は、「みんなで国に理想を掲げよう」という考えに賛同する人びとが増えるにつれて、それが国の内外に大きな影響を与え、国家エゴイズムの対立による国際間の緊張を根本から緩和し、諸問題の解決への道筋をつけることです。