推薦のことば

日野原重明先生からの推薦のことば

増補版刊行にあたり、日野原重明先生(聖路加国際病院理事長・名誉院長、新老人の会会長)より、帯に推薦のことばをいただきました。

「地球上での戦争と、世界をおおう経済危機を解決していく鍵は、
私たち一人ひとりの手の中にあることを気づかせてくれる本書を推
薦します。」

増補 国の理想と憲法
増補 国の理想と憲法

          (2009/7/7)

Kyotoジャーナル 第72集 (2009年・春号、英文雑誌)

「理想という力―憲法9条が問う世界像」" に書評が掲載されました。

        (以下、原文を翻訳、掲載許可済み)

 

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Kyotoジャーナル
Kyotoジャーナル

☆☆☆ 国家エゴからの脱却 ☆☆☆

 

「ビヨンド・ナショナル・エゴイズム―国際環境平和国家への道」
野村昇平著(Nancy Kiyoko Go 訳)、まみず出版、(2008)、197ぺージ
書評 :キムバーレー・ヒューズ
 
 野村昇平氏による日本語版原書「国の理想―「国際環境平和国家」への道」」は、2007年発売以来、全国の平和を求める人々の中で話題になっています。


 英語版の題名はこの言葉になじみのない読者を当惑させるかもしれませんが、野村氏は、まさにその題名が示唆していることを提案しています。すなわち、野村氏は、日本に、米国型軍事化への現在の傾向を否定するよう促し、段階的にどうすべきかという指針を提示しています。米国型軍事化のエゴイズムを原動力にした競争は、国内外で数多くの問題の原因となっています。予算の優先事項を貧困と飢饉の緩和への移行、さらに、難民保護、地雷除去など積極的な平和政策のメニューを実行することにより、日本は世界中から比類なき敬意を勝ち得るだろうと主張しています。

 

 日本が正式の軍隊を持つ「普通の国」になることを求める声が高まっているなか、日本の戦争放棄をうたう憲法九条の運命は危険と隣り合わせの状態でぐらついています。この憲法九条に関する議論は、野村氏の論拠の核心となっています。野村氏は、憲法九条の批判者に対し、彼らの論理を用い、次のように意見を述べています。

 

 第9条は、日本が世界で尊敬される「普通ではない国」になる絶好の、運命的な機会を日本に与えています。それは、戦争を肯定する、「普通の国」ではなく、第9条の下で、今までどの国もしたことのないやり方で、国際関係を安全なものにするために、世界でリーダーシップを発揮することなのです。それはすなわち、日本が世界に向かって、第9条を希望の旗として掲げ、国際社会において、非暴力的・非軍事的な方策を実行して、戦争防止と紛争解決、そして、この地球という惑星の生態圏を平和にするために、リーダーシップを発揮することです。日本は今こそ、戦争を否定する「普通ではない国」のリーダーシップの見本を世界の国々、とくに、アメリカに示すべきです。

 

 野村氏の理想は、どこから見ても野心的な発想です。この理想は3段の構造であり、個人、国、人類全体レベルの意味合いを持っています。野村氏は、実行すべき変革の規模と底深さは、明治維新、或いはそれを超えるものになるかもしれないとし、その将来像を次のように述べています。


 大変革の過程で国内では、大量生産・大量消費型の経済システムから、維持可能な循環型経済システムへの転換を果たしていきます。そして、経済優先の物質的豊かさを追求することに替わって、人と人、自然と人のつながりを大事にして、物質的にも精神的にも豊かな社会を築きあげることになります。

 

 野村氏は、この本の最初に、「…先入観や固定観念に囚われることなく、虚心に読み進んでいただきたい」 と、読者に強く求めています。次に、現代の既存の問題の解決は、全く新しい観点から生み出さなければならないと指摘します。同時に、解決しようとする前に、先ずは、問題の根本原因を把握するよう努めなければならないと主張しています。世界の食糧を支配しようとしている米国の覇権主義的な行為を、国家エゴイズムの最悪の論理的帰結の特に甚だしい例とし、日本にとっては、米国の政策に付和雷同する是までのやり方を止めるべきと指摘しています。特に、島国日本の食糧自給率は危険なほど低いことに加え、世界的食糧危機が悪化し続けた際には、米国は日本のニーズを考慮に入れそうにないからです。

 

 野村氏は、時には精神的な領域に深く踏み込みます。そして、すべての生きとし生けるものを調和した一体の存在として結びつけ、“平和への原動力”となる集合意識について論及しています。そうすることによって、人間というものは、放任されれば、お互いに乱暴な手段に訴えるものだとして、軍事化を進めようとする主張に対して反論しています。

 

 一部の読者は、野村氏の一つのレシピーで幅広い社会的病癖に対応しようとする試みに疑問を抱くかもしれません。また、この理想を掲げ、多くの人々が賛同することによって「今の不安定な世の中に、大きな明るい光が灯ったように感じられるでしょう」というような表現に見られる純真さに染められた楽観主義に興味をなくすこともあるかもしれません。しかし、そのような表現は、本書の全般的な内容の深さと共に、ガンジーをはじめ象徴的な平和活動家の、強く心を打つ引用句により相殺されます。確かに、人類は危機的状況にあり、失うものは何もないので、今このような純真さは、まさに必要なのかもしれません。

 

 歴史のこの重大な時期をとらえ、この理想を中心とした活動を始めるために、野村氏は本書の出版とともに二カ国語のホームページを開設されました。

 「国の理想ネットワーク」という名のホームページ(http://kuninoriso.jp/)です。このホームページは、このビジョンを実現するために、やりがいのある挑戦(まさに、存続レベルの挑戦)に参加するよう読者に提案しています。

          (2009/6/10)

 

スティーブン・リーパー さんからの推薦のことば

(財)広島平和文化センター理事長

"In general, I feel that the author is on exactly my wavelength. I love everything he says and totally agree. I often felt he was writing straight out of my own mind."

 

全般的に、著者と私の波長が一致しているのを感じます。私には彼が述べている全てのことが好ましく思われ、全く同意見です。彼が、私自身の心を直接表現して書いてくれているのでは、と感じることが何度もありました。

 

          (2008/06/09)